本書は、20世紀前半の主導的な知識人ケインズを取り上げ、その経済理論の変遷過程を明らかにすることを中心的な課題としている。その際、理論家ケインズを複合的視座から捉えるべく、一方でケインズの経済政策活動、社会哲学(市場社会観)等についての検討を行うことに、他方でケインズに先行する時代、ならびに同時代の経済学の状況、それにケインズの生きた時代のイギリス経済・世界経済の状況についても注意を払うことに、努めた。
本書では、ケインズの理論的進展過程を、諸著作、諸論文、諸草稿、講義ノート、論争的書簡などの詳細にわたる検討を通じて、解明していく。とりわけ『貨幣論』(1930年)から『一般理論』に至る彼の知的な旅程を構成する理論的形成の過程に検討の中心がおかれる(『貨幣改革論』(1923年)から『貨幣論』に至る過程にも、相応の検討は行われている)。これらの検討を通じ、ケインズの理論的進展過程を1つの理論仮説として提示すること(そして、副次的に、それが従来の諸研究と比べどのような特徴を有するものなのかを示すこと)が中心的課題として目指されている。
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